知識と経験を要する、機械操作の面白さ
—— 仕事のやりがいについて教えてください。
久保:工場の製造業務というと、ベルトコンベアで運ばれてくる同じ部品をひたすら組み立てるといった単純作業のイメージもありますが、私たちの仕事は全く違います。圧造加工では金属の膨張率などを見越した微妙な設定が必要であり、稼働中に機械の寸法が変化することまで予測して調整をしなければ、途中で機械が止まってしまったりすることもあります。トラブルを起こさず機械を動かすためには、機械の構造を理解し、製品ごとに適した調整技術を学ばなければなりません。業務の中では、自分の頭で調整を考えている時間がかなり長いのですが、これが私にはとても面白く、時間が経つのを忘れるほど集中することができます。一人でトラブルを起こさず大量の部品を製造できるようになると、「ああ、自分も成長したな」とやりがいを感じます。
苅辺:私が担当する検査過程には、久保さんをはじめ製造の方々が作った部品が届けられます。基本的には品質の良い物ばかりなのですが、モノづくりの宿命として、数百万分の1というわずかな確率で不良品も混じってしまうもの。そのわずかなエラーを見逃さずに選別できたときに、「やって良かった」と達成感を感じますね。しかし製造工程と同じで、検査機械の設定は製品ごとに細かく変えなければなりません。機械の寸法を計測する設定はなかなか複雑で、「不良品だけを確実に検出する」ためには相応の知識と経験が必要。だからこそ面白いと思います。
—— お二人は部品製造・検査の経験がない状態で入社されていますが、入社後どのようにしてここまで成長されたのでしょうか。
久保:圧造加工をマスターするためには、繰り返し経験しながら学んでいくことが大切です。最初はネジに関する知識はゼロで、わからないことばかりでしたが、先輩方が一緒に機械を動かしながら優しく教えてくださったおかげで、自然に知識が身に付きました。入社前は、工場には怖い先輩もいるんじゃないかと少し身構えていたのですが、実際には皆さん穏やかな方ばかり。怒鳴ったりする人はいませんし、わからないことがあればいつでも質問に答えてくださいます。私の場合は1年ほどで基本的な仕事はできるようになりました。
苅辺:私も久保さんと同じです。わからないことがあるたびに先輩に質問して疑問を解消していきました。研修が充実しているところも良いと思います。たとえば入社後すぐの研修では、製造部門などいくつかの部署を回り、ネジの製造に関する基本的な知識を一通り教わることができました。さらに、業務に必要なスキルを身につけるため、外部の研修に参加させてもらえることもありがたいです。2年ほど前に、既存の機械に制御ソフトウェアを取り付けて自動化するプロジェクトに参加したのですが、研修で学んだ知識が活かせて嬉しかったのを覚えています。